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『十禅福白史』と『輝かしい鏡』-オルドス・モンゴルの年代記-(モンゴル学研究基礎資料)

『十禅福白史』と『輝かしい鏡』-オルドス・モンゴルの年代記-(モンゴル学研究基礎資料)

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『十禅福白史』と『輝かしい鏡』-オルドス・モンゴルの年代記-(モンゴル学研究基礎資料)

著者
楊海英編
出版社
風響社
出版年月日
2018.03
価格
¥1,650
ページ数
117
ISBN番号
9784894898745
説明
 オルドス・モンゴルに伝わる貴重な年代記2点の影印版に詳細な解説を付す。チンギス・ハーン祭祀などの基礎資料。
序文
 2002年、私は南モンゴルのオルドス出身の知識人オーノス氏(1929-2010,写真1 オルドス・モンゴルの知識人、著名な写本収集家オーノス氏)が保管していたモンゴル語の写本類の一部をカタログの形で公開した。その中に、私が「歴史」のジャンルに分類した写本群には『十善福白史』(Qoyar yosun-u dörben törü-yin arban buyan tu nom-un čaγan teüke orusiba)も含まれ、No.35にカウントしていた。写本は、「雙盛合造 一本萬利」というシナ製の古い便箋を二つ折りにし、糸で左綴じした冊子である。大きさは24.2cm×26.3cmで、一ページに毛筆で12行書き、計14枚ある。筆跡は美しい。扉ページには「門克吉慶」という赤い判子が押してあるが、おそらくムンクチチクというモンゴル人の漢字名であろうが、それがどんな人物なのか、ついにオーノス氏に確認することはできなかった(楊 2002:156)。オーノス氏は私の叔父で、2010年に他界した。亡くなる前に、『十善福白史』の公開を私に託したので、今回、写真版の形で公にすることにした。
 もう一冊は『輝かしい鏡』(Gegen Toli)である。こちらは私が2002年にオルドスのオトク前旗のモンゴル学者ソノム(Sonom)氏が保管しているゼロックス・コピーを譲り受けたものである。元々はオルドスのウーシン旗西部にあるシベル寺(Siber Süme)の僧ロンルブ(Lhünrüb,写真2 シベル寺の僧ロンルブ。写真には「32歳の時に、私ロンルブ楡林にて」(γučin qoyar nasun-a Lhünrüb minu beye Temegetü-dü)とある。撮影の年代不明。)が1954年に内モンゴル社会科学院に提供したものである。ソノム氏は1995年に同年代記を現代の正字法に準じて整理・校注して出版している(Sonom 1995:4-35)が、オリジナルを影印で示していなかったので、今回、併せて写真版で上梓することにした。この二つの年代記を一緒に公開した理由は、前者はホトクタイ・セチェン・ホン・タイジ(1540-1587)が編集に関わったとされていることと、後者はそのホトクタイ・セチェン・ホン・タイジの主要