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日本

東京大学東洋文化研究所蔵 程乙本紅楼夢(下) 嬌紅記

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東京大学東洋文化研究所蔵 程乙本紅楼夢(下) 嬌紅記

著者
大木康解題
出版社
汲古書院
出版年月日
2014.10
価格
¥11,000
ページ数
430
ISBN番号
9784762965180
説明
※出版年が古いので新本ですがヤケ・シミ・痛みがございます。
【本書より】(東京大学東洋文化研究所長 大木 康) 

ここに東京大学東洋文化研究所蔵『紅楼夢』程甲・程乙両本及び『嬌紅記』の影印本をお届けいたします

  清代中期、曹雪芹(一七一五?~一七六三?)によって書かれた長編小説『紅樓夢』は、大貴族である賈家の盛衰をたていとに、主人公賈宝玉と林黛玉、薛宝釵ら多くの女性たちの恋と生活模様を描いた一大絵巻です。中国を代表する小説作品の一つとして、今でも多くの読者を持ち、賈宝玉、林黛玉の名を知らない人はいないといっても過言ではありません。康煕帝に重用されて清王朝の重職につき、栄華をきわめていた曹家は、康煕帝の後を継いだ雍正帝の時代になると、急転直下、官職を剥奪され、家産を没収される憂き目を見るに至りました。蝶よ花よと育てられた曹雪芹は、かくしてきわめて過酷な運命を甘受しなければならなくなります。そのような曹雪芹にとって、人生のわずかなよりどころは、失われた時を求めて小説『紅樓夢』の筆を執ることだったのだと思われます。しかし曹雪芹は、こうして書き綴った小説を、一部の親戚友人の間で回覧するばかりで、出版公開することは考えておりませんでした。そのためこの作品は、曹雪芹の生前はもとより、没後数十年間にわたって、写本の形でしか伝わっておりませんでした。その作品がはじめて印刷出版されたのが、ここに影印する程本、すなわち程偉元本にほかなりません。『紅樓夢』は現在百二十回という長さの作品として伝わっておりますが、実は曹雪芹が書いたとされるのは、八十回までであって、その後は高鶚という人が書き継いだものです。高鶚による後四十回についての評価はさまざまですが、今日まで伝わる百二十回の『紅樓夢』が世界にはじめて姿を見せたのが、この程偉元本だったのです。程偉元本は、最初乾隆五十六年(一七九一)に木活字によって刊行されました。これが程甲本です。そして、おそらく好調な売れ行きを背景にして、すぐ翌年、あらためて活字を組み直して刊行されたのが程乙本です。この程本を出発点にして、『紅樓夢』のその後の厖大な種類に及ぶ刊行史がはじまりました。その意味で、『紅樓夢』という作品がたどってきた歴史の中で、程偉元本はきわめて重要な位置を占める版本にほかなりません。