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日本

渡来人陳元贇の思想と生涯 江戸期日本の老子研究

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渡来人陳元贇の思想と生涯 江戸期日本の老子研究

著者
李麗
出版社
知泉書館
出版年月日
2024.01
価格
\7,150
ページ数
344
ISBN番号
9784862854001
説明
 長い日中文化交流史の中で,江戸時代初期は明が滅亡し清に王朝が交代する変動期であった。混乱を避けるため,また日明貿易を介して,商人,医者,僧侶,文人など多くの明人が来日した。唐人屋敷が作られた長崎には,彼らとの交流を求め文化人が多く訪れた。渡来明人による文化の移植は,日本文化にいかなる影響を及ぼしたのか。
 本書は,鎖国前の1619年に明から来日し,尾張藩に仕えた陳元贇(ちんげんいん)(1587-1671)に焦点を当て,彼が日本で執筆した『老子経通考』の分析を通して,近世老子思想の日本における受容を解明する。
 第1部「陳元贇の生涯」では,江戸期の伝記史料を年代順に整理し,先行研究における史料間の不一致を考証して陳元贇の日本における生涯を再構成する。思想の他に詩,書,建築,製陶,拳法など多芸博識な人物像とともに,来日した真の目的とは何かをスリリングに描き出す。
 第2部「陳元贇の思想」では,林羅山にも称賛され,老子解釈として当時日本で広く読まれていた林希逸『老子鬳齋口義』を批判した『老子経通考』について,初めて本格的に考察する。林注が儒教的立場の老子解釈であったことが彼の批判の骨子であることを読み解いて,日本における老子思想受容へ与えた影響を明らかにする。
 巻末には,現存する陳元贇の書翰や詩など未公開史料を調査した附章,その写真と翻刻,および年譜を付す。
 近世日本思想史における老子思想の役割や,儒家思想の在り方に新たな視点を与えるとともに,日中文化交流史においても一石を投じる画期的業績である。