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日本

日中戦争期上海資本家の研究(汲古叢書)

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日中戦争期上海資本家の研究(汲古叢書)

著者
今井就稔
出版社
汲古書院
出版年月日
2025.02
価格
\9,900
ページ数
322
ISBN番号
9784762960864
説明
 戦時期の上海資本家の活動を日中双方の立場から具体的に検証し明らかにする。
【序章より】(抜粋)
 1937年8月に日中両国間で激しい市街戦が展開されてから1945年8月の終戦まで、近代中国最大の商工業都市であった上海は、軍事的にも政治経済的にも日本の強い影響下にあった。……この時期の上海を全体として日中戦争期の上海、ないし戦時期の上海と本書では呼ぶことにする。本書のテーマは戦時期の上海において活動した中国人商工業資本家の分析を行うことである。彼らの経済活動と社会活動を具体的に検証し、その活動の歴史的な意味を解明するとともに、戦時期上海経済の性格についても中国近現代経済史や日中戦争史上に位置付けることを目的とする。
 ……本書においては、経済活動や企業経営の主体としての側面と、地域社会における政治的・社会的活動の担い手としての側面の2つを併せ持った存在として「資本家」ということばを使用している。……その出自はさまざまであるが、およそ資本家である以上、その本分は企業活動を通じて利益を出し、企業を安定的に持続・発展させることである。一方、……国の存亡をかけた厳しい戦争中、とりわけ戦争相手国である日本に占領された上海において、中国人である彼らが民族意識や愛国心、そしてそれに根ざした利他的な行動と無縁であったわけでもない。経済的な利益追求の根底にある利己的な行動と民族意識などに基づく利他的な行動との間で、上海の資本家たちは戦時中、どのようなことを考えながら行動し、日本側と向き合っていたのだろうか。……日本の占領という非日常的な環境においては両者はなんらかのかたちで緊張関係にあったのではないだろうか。資本家ということばの選択にはそうした問いかけが込められている。上海の資本家といっても企業の経営規模や業態はもとより、社会活動への関わり方も多様である。本書で登場する資本家はそのごく一部に過ぎないが、経済史的視点と社会史的観点を織り交ぜながら彼らの行動を検証し、戦時期を生き抜いた彼らの歴史的な性格を明らかにすることが本書の課題である。