自社
広がることば 現代華語アンソロジー
自社
広がることば 現代華語アンソロジー
- 出版社
- 朋友書店
- 出版年月日
- 2025.11
- 価格
- \3,300
- ページ数
- 235
- ISBN番号
- 9784892812163
- 説明
- 大阪大学名誉教授青野繁治先生の退官記念翻訳集。一九八〇年代以降、現代にいたるまでの中国語圏における著名な作家たちによる小説を中心とした文学作品を収めており、中国語圏について知りたい、そこに生きる人びとが何を考えているのかを知りたいという読者の知的好奇心に応えるアンソロジー。
青野繁治「序」より
本来、大学の文学部における中国文学研究は、先秦時代から、秦漢、三国、南北朝、隋唐、宋、元、明、清、中華民国そして中華人民共和国と三千年にわたる中国人の文学的活動を研究対象とし、さらに文学だけでなく、政治、歴史、経済、文化、芸術にも研究範囲が及ぶ。本書の対象はそのなかでも一番われわれの時代に近い文学作品である。われわれの中には民国時代を研究対象とするものも多かった。それはまだ生きて作品を書き続けている作家たちは、まだ評価が定まっておらず、研究対象として成熟していないから、学位を請求する論文の研究対象としては、ふさわしくないと指導教官から指導されることが多かったことがある。古典を学ばずして、現代がわかるはずがないというのは、中国文学研究においては広く認知された常識となっていると思う。しかしそこまで言わなくとも、カレントな文学状況を研究対象とすることに、一定の困難があったのは、どこの大学でも同じであろう。
それはそれとして、我々は自分の研究対象を現代中国に求め、作家や詩人たちと直接交流をすることによって、彼らを理解するようつとめてきた。それがこの時代にまず外国語を学ぶことから出発し、その外国語を基底とする外国の文化を学ぶ、というコンセプトをもつ大学で学んだ我々の必然だったのかもしれない。われわれの関心は、中国大陸だけでなく、香港、台湾、華僑へと対象の範囲を広げてきている。本書はその結果でもある。読者諸氏には、これら作品群のなかから、今世界がかかえる問題群を考えるヒントを読み取っていただければ幸いである。
序 青野繁治
張抗抗「白いケシ」上原かおり訳
朱 文「事件」山本透江訳
伊 蕾「独身女性の寝室」島由子訳
格 非「青黄」和田知久訳
金海曙「焦燥の極み」大西紀訳
遅子建「五羊嶺の万華鏡」田中洋子訳
麥樹堅「千年獣と千年詞」河本美紀訳
喩栄軍「上海話劇 時代とともに歩んだ四十年」中山文・岩田弥生訳
作家・作品紹介
あとがき 和田知久
