日本
漢訳マルクス主義文献の源流 日本からの伝播
日本
漢訳マルクス主義文献の源流 日本からの伝播
- 出版社
- 社会評論社
- 出版年月日
- 2026.04
- 価格
- \2,860
- ページ数
- 216
- ISBN番号
- 9784784516018
- 説明
- 中国最初の『共産党宣言』(1920年)の主たる翻訳底本は『社会主義研究』(1906 年)に収録された幸徳秋水・堺利彦訳であり、郭沫若版『ドイツ・イデオロギー』の翻訳底本は,櫛田民蔵・森戸辰男による『我等叢書』(1930年)であったと考えられる。中国最初の『資本論』は、河上肇・宮川實訳(1927年)を事実上の翻訳底本としており、日本語から多くの術語が受け継がれた。
大正デモクラシーの時代に相次ぎ刊行されたマルクス・エンゲルスやレーニンらの左翼文献の日本語訳が、中国人留学生や亡命者によって中国語に翻訳すなわち漢訳され普及した事例が相当数存在した。
他方、現代では同一のドイツ語表記が中国と日本で全く異なる漢字表記になっている事例が相当数存在する。原語に全く異なる術語が用いられるようになったのは1960 年代以降のことという。著者はNation を「国民」から「民族」に訳し変えたことは、中日両国研究者の研究交流を阻害する要因になる可能性があると指摘する。
翻訳術語の相違はテキスト間の相違となり、それが理解の核心部分を構成するものであればあるほど、中日両国で全く異なるマルクス・エンゲルスの理解が生まれることを著者は危惧する。
両国研究者の意思疎通や研究交流の深化拡充のためにも、両国におけるマルクス・エンゲルス著作の翻訳史、および翻訳術語の変遷史を体系的、網羅的に検討することの重要性を訴える。
本書は博士学位論文(東北大学2016年)に結実した、著者・盛福剛の研究成果を公刊したものである。
